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QoLを考える、その2

「より楽しい」生活とは何だろうか? 現在サラリーマン生活を送りながら、今一度真剣に生活の質「Quality of Life」を考えるこの企画、今回は「Time is money.」、時間という切り口からQoLを考える。

例えば仕事終わりのハナキン(最早死語?)、サラリーマンにとって、 これほど嬉しいのは何故だろうか。

早めに会社を抜け出し、飲んで歌って夜が明けて、待ちに待った休日。長めの睡眠から覚めると、やらなきゃいけないことがたっくさんある。 たまったメールの処理、普段見られないドラマの鑑賞、友達との約束、家事手伝い、買い物、CDも聴かなきゃラジオも聴かなきゃそうだ部屋の掃除もあったんだ、あー気づいたらメルマガまた落ちちゃったよ(笑) …と休日なのに全然「休」日じゃないという摩訶不思議パラドックス。

確かに3次元空間に生きるモノとして、限られた時間の中でのせめぎあい、それは万物に平等に与えられた時の流れのはずなのだが、過ぎてみれば自らが望んだ消化活動をしているとも思えないのは何故だろう。

よくよく考えればだいたい土曜日曜だけに、私のやりたいこと全てを注ぎ込もうという魂胆自体がいかがなものなのだろうか。月曜から金曜までサラリーマンと言う名目で縛られ続ける生き方が、たとえそれが大金との引き換えだとしても果たして「より質の高い」生活と言えるのだろうか?

好きな時に休み好きな時にライブに行け好きな時に食事に出かけられるそんな「ささやか」だけれど日常を満喫できる人生こそが、私の本当に望むものであったりする。

もちろんそんな都合の良い人生ばかりは実現できないし、たとえできたとしても退屈すぎてどうせ碌なこともないだろうけど、でも折角の仲間との楽しいひと時すらも、仕事と携帯電話で繋がれた「常駐」状態(意味も無くメモリを喰うあの常駐ソフトの如く…笑)は本来破棄し、勇んで電源を切る方が、「ひと」としての生き方じゃなかろうか。

器量良くしかも同時に物事をテキパキと事をなすまるでWindowsのようなマルチタスクも確かに素晴らしいが、地味で不器用だけどその瞬間その瞬間をこつこつとコマンド叩いて頑張ってるMS-DOSのような時代遅れのシングルタスクの味も、なかなか忘れがたいものがある。

「自分は俳優だからW杯を見ていても、サッカーよりもそれを見て涙している人の方が気になってサッカーに集中できない」と中尾彬氏が以前テレビのトーク番組で嘆いていたが、やはり「ひと」として、サッカーに燃え上がっているときは心の底から燃え上がりたいものなのである。

…とまあずっと逡巡してみれば、時間を巡っての攻防とは、勝つか負けるか、まさに真剣勝負の世界であるべきだということかもしれない。

即ち、遊ぶからには徹底的に遊べ、仕事する時には徹底的に仕事せよ。 どうしても遊びたい時は、仕事休んだっていいじゃない。どうしても仕事しなきゃいけない時は、死に物狂いで仕事せよってことなんだろう。 誰かが提唱しているように、有給はフルに使うべきなのである。

でも働きながら遊ぶなんて出来ないよ、そういう現実からの声も聞こえるのは分かる。しかし仕事と遊び、2つは本当に無理なのか?

いやいや、むしろ「2つとも、ヤル」のだ。しかも、「てってーてき」に!

シングルタスクが1つのことしか出来ないというのは間違っている。上手に、器用に生きなくとも、寄り道して、たとえ不恰好でも一つ一つを徹底的に生きられたら、文句なくこれはやったぞと胸を張れる人生ならば、私はそれが「より楽しい」人生なんじゃないかと思う。そしてこれこそが、QoLなんじゃないかと、自戒の意を込めて、思うのだ。

2002.07.28.