Music Impression
Vol.3 "2000.Feb"

2000/02/11 @662(23:54)

 

2000年の区切りということで各アーティストが強力な個性をぶつけてきた今冬。
久々にラジオなどをエアチェックして聴いています。
TSUNAMIも素晴らしいけれど、それ以外のアーティストがこぞって良い感じなんです。
皆さんはどう思いますか?

 

川本真琴 "微熱"

AICT-1144
2000年1月21日発売
ソニーミュージックエンタテインメント株式会社
byebye Sony Music Online Japan

久々のシングル、しかも初のドラマタイアップだそうです。
まぁそれはともかく。
売上は必ずしも上手くいってないようですが(笑)、これは凄い歌です。
歌詞見るまでは何言ってるのか良く分からなかったけど(「微熱」なんて何処から出てくるんだと不可思議だったくらい、まぁその微熱と言う言葉自体が不可思議なんですけど)、 例えるならミネラルウォーターの流れるような曲。
そう、単なる水じゃなくてね、ちょい高級なミネラルウォーター。
軽快なポップスのようで、こうあっさり洗練されているというか、イントロにしても、 歌詞にはない「Tell Me」の叫び具合からしても、彼女の新たな疾走感を味わえます。
しかも相当オシャレにね。

奥田民生 "マシマロ"

SRCL-4742
2000年1月19日発売
ソニーミュージックエンタテインメント株式会社
byebye Sony Music Online Japan

渡辺満里奈、PUFFYはまだしもSME丸山社長(白髪のおじさんがそうです)までも出演するPVがいかにもソニーらしく秀逸。
同曲が使われているウィスキーのCMと同じ構成となっているのも洒落っ気満点。
歌詞もふざけて良い意味で力の抜けた、しかしこれは確実にロックンロールしてます。
何でこうふざけてるのにこの人はいつもカッコ良くなるんでしょうね。
そのふざけに芯が通ってるというか。
「ひげのびても気にしない♪ うしろまえも気にしない♪」 このマイペース。
歌詞なんかも気にしない。
彼らしい。
凄く「生きて」ますよね、人生を。

SUPER BELL"Z "MOTER MAN"

TODX-2501
1999年12月8日発売
東芝EMI株式会社
byebye To Make It!(TOSHIBA EMI)

滅多にCDを買わない私ですが、NACK5から流れた 「あ、あ、あ、秋葉原です♪」 …この一言に私はヤられ、買っちゃいました。
因みにこの歌のエグゼクティブプロデューサはNACK5ジャパニーズドリームを仕切る富沢一誠氏。
AM局でもプッシュされていたみたいで、まさにラジオから火がついた代物なんです。
確かに何度も聴くCDじゃないです(笑)。
しかしですね、これはそのアイデアにやられたと。
私も常々あの独特な車内アナウンスに興味があったんで、これはしてやられたと。
車内アナウンスをラップに、しかもその性質上かなりローカルな内容(笑)。
私は京浜東北線を使ってるから分かるようなものの、「蕨」なんて地方の人に分かるのか?
そんなローカル性が逆に面白かったり。
「わ〜らび♪」なんて絶対イジりたくなる地名ですよね。

Thee michelle gun elephant "GT400"

CODA-50209
2000年2月2日発売
TRIAD(Nippon Columbia)
byebye TMGE Official Web

最初聴いた時はあんまり良い印象は受けませんでした。
今までのロックもロック、みたいな分かり易さが消えて「ちょいと」洗練されたというか、あのゴツゴツしいロックが消えてちょっと残念というか。
私は熱狂的ファンじゃないから彼らの今までを良く知らないんですけど、彼らが流されちゃったような、ややもすると霞んじゃったような感じがしたんです。
下手なJ-POPSになっちゃったのかなと。
でもガンガン尖がってない、その意味でのロック的分かりにくさが、逆に聴くたびに 「これはもしかしたらとてつもなくカッコ良いんじゃないか」 と思えてきたんです。
途中のギターソロとかね。
どうやらミッシェルとしても久々のシングルらしくて、多分彼らの中でも今まで溜めてきた思いというのが少なからずあるのではと思うのですが、その思いが上手いこと昇華しているというか。
今までの引きずりじゃなく新しいものに挑戦し、そしてそれが実は凄く分かり易く私達に訴えかけているんだと、そう感じたんです。
ロックが音だけでなく精神的に生きている。
ブランキーの「ダンデライオン」のような、そういった安堵感とロックスピリッツです。

椎名林檎 "幸福論"

TOCT-22011
1999年10月27日再発売
東芝EMI株式会社
byebye Shena Ringo!(TOSHIBA EMI)

新曲2枚も出てますけどね、そしてそれらは売れてるし確かに私も買いましたけどね。
でも私はこっちです。
マキシシングルとして再販売されたのを機に買いました。
彼女の歌はいたって強気でサディスティックな感じを受けますけど、実はかなりか弱く消し飛ばされそうな憂いがこもってます。
というか少なくとも私はそう認識してます。
その意味で誤解を恐れなければ彼女は「変人」でもあり、恐らく売れるような感じもしないのですが、こうセールスが伸びると言うのはある種のシンパシーを世の人が受け取っているからなんですよね。
私はそれを曲の良さに見るのですが、きっとそれは歌詞の方も、なんでしょうね。
高度化効率化画一化しているからこそ自分達の「幸福論」が見えなくなり、その論議さえも放棄し始めようとすらする時代ですから、彼女の存在は稀有だしそして実は普遍なテーマなんです。
だからこのデビュー曲を持ってして私は彼女がどれだけ変わるのか凄い興味があるんです。
まぁ理屈をこねる前に、この曲は凄い良いんです。
ただ歌詞に心からの全肯定はしませんけど。

THE ELEPHANT KASHIMASHI "ガストロンジャー"

BFCA-72001
1999年12月8日発売
東芝EMI株式会社
byebye To Make It!(TOSHIBA EMI)
byebyeELePHANT Kashimashi info sight! (with LOVEnf)

いやあこれをちゃんと聴いたのはCS放送でだったんですけど、凄いですね。
「…日本の現状をどう思う? 俺はこれは憂うべき状況とは全然考えないけれども、かといって素晴らしいとは絶対思わねえな俺は。」
余りにも率直ですさまじい気迫、叫び。
「それ縄文時代から現代まで変わってねえんだよお前」
と2度繰り返す、むせ返るような熱さ。
どれも同じだけど「胸を張ってそう!」と叫ぶ宮本さんのがむしゃらな挑発&長髪。
とにかくあの髪をぐしゃぐしゃにしてまでの絶叫、熱苦しさがですね、世間に渦巻くあらゆる「お寒さ」も吹き飛ばします。

安室奈美恵 "LOVE2000"

AVCD-30081
2000年1月1日発売
AVEX株式会社
byebye AM-GLAM

小室哲哉は嫌いなんですけど、この歌は凄いし彼もやはり大した人だなと思うんです。
一貫してずっと同じフレーズが流れるんですけど、そのフレーズが好きです。
良く分からないけど良い。
鈴木あみの新曲(「Don't need to say good bye」)も実は嫌いじゃないんですが、彼はフレーズの天才ですよね。
多分そこだと思うんです、彼の偉大な秘密って。

モーニング娘。 "LOVEマシーン"

EPDE-1052
1999年9月9日発売

モーニング娘。 "恋のダンスサイト"

EPDE-1067
2000年1月26日
zetima株式会社
byebye zetima Online
byebye 恋のダンスサイト

新メンバー後藤が加入してからの2曲。
個人的に1999年のベストソングを問われたら迷わずこの「LOVEマシーン」を挙げます。
最初はっきり言って私は彼女らをバカにしてました。
もちろん「ASAYAN」を含めて。
しかしどうですか、これほど庶民的アイドルグループになるとは。
それぞれの個性もさることながら、特筆すべきはつんくの異常なくらいの感性ですね。
私の友人は彼女らを「既につんくのキャバクラ嬢だ」と揶揄しましたが、そこなんです、彼の才能というか特殊能力は。
世の(特に女性に押されっぱなしな男性の)鬱屈が仮にあるとするなら、そこに溜まりに溜まった世紀末の「変態的」思想とも言える代物を、これほど明るいお祭り気分の曲で昇華させる。
今冬この曲の流れないカラオケルームは見たことありません(笑)。
曲だけでなく、歌詞にもさりげない風刺を交えているし。
余談ですが桑田さんもカラオケで歌ってるそうです(笑)。

続く「恋のダンスサイト」にしても「ウェブサイト」をタイトルに持って来たあたりが、時代を読んでいる、とまでは言わなくとも時代を「見ている」わけです、しっかりと。
それが「ウーハー」という駄洒落に繋がって、全てをいとも簡単に「セクシービーム!」と笑い飛ばしてしまう感性。
幼稚過ぎるほどの若さによる社会的反抗が、返って新鮮で。
…勿論、これを笑って許せる「余裕」と「自覚」こそリスナーには必要なんですよ、誤解無きよう(笑)。

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