今回は椎名林檎さんの「ここでキスして。」というマキシシングルと「無罪モラトリアム」というアルバムです。
最近物議を醸している問題作ですが、より詳しくその問題に突っ込んでみたいと思います。
椎名林檎 「ここでキスして。」
TOCT-4133 椎名林檎 「無罪モラトリアム」 TOCT-24065 共に東芝EMI株式会社 |
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聴く時点で既に壊れていることを目当てにされている存在。 徹底的な破壊のイメージを抱いている存在。 そんな風に彼女を見る。 様々な人がレコメンドしてるし、それは間違っていないと思う。 私も大好きだし、だからこうして紹介している。 そのおかげでこそ、流星の如くスターダムにのし上がれたのだから。 ただ。 少し、早い。 まだ20歳。私と同い年。 凄いのは分かる、だからとは言え、こうも騒ぐ世の中はどんな世の中なのか。 病んでいないとは言わないが、でも。 ある意味「普通」が多過ぎて、だから「変人」も多過ぎる世の中。 「変人」が聴くのか。 それは、その存在意義のために? 「普通」はどう聴くのか。 変人をあざけるためなのか? そうかむしろ、普通と同調するためなのか? …だとすれば、哀しい。 難解な歌詞。 短い曲。 つまり「破壊の既製品」となってほしくないというか。 ジャケットに書かれる「欠落人間」。 私が期待し過ぎるのか? |
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#1 正しい街 |
深く強く韻を踏むこのリズム。 空虚な街の雰囲気が正しいとする? これはその中で歌った歌でしかない。 |
#2 歌舞伎町の女王 |
それにしても博多の子にこうも簡単に歌われてもまずいだろう、新宿の民よ。 小気味良い転調、繰り返す「歓楽街」。 ストレートなまでの歌舞伎町を歌いながら。 その側で感じるのはこうした腐敗感というか、どこまでも突き進む破壊感というか。 「女に成った私が売るのは自分だけで」 精一杯な生き様すら感じる。 |
#3 丸の内サディスティック |
歌詞が歌詞として聞こえない分、そこに残されるのは完全に「Brown Cherry(という歌がSASにある)」的聴き方である。 「620」とか「青 噛んで熟って頂戴」なぞ。 熟って、についてはもう、その極致。 内容に関しては彼女の「盛者必衰」的思考を改めて、思う。 |
#4 幸福論(悦楽編) |
この方が本作には「らしい」在り方だと思う。 特に最終部。 これがデビュー歌というのが、信じ難い才能である。 |
#7 積木遊び |
変拍子と3連ドラム、挟む大和メロディ、そして英語適当日本語。 心地よい和洋折衷ロック。 |
#1/#8 ここでキスして。 |
私的にも一気にブレイク。 というかストレートな歌詞。 いつもの彼女にしては。 これこそ理想の代弁と言うか。 曲も良い。 分かりやすい。 適度に壊れて。 でも良い。 |
#9 同じ夜 |
バイオリンと詞が特に。 詞は相当気合入っている。 |
#10 警告 |
社会と個人を上手く絡める詞に才能を感じる。 |
#11 モルヒネ |
自己破壊の極致。 これはモラトリアムの範囲? いや、違うだろう。 |
#3 リモートコントローラー |
最初そんなイメージを持った。 全てを欲望のままに壊れて暴れる幼児のような。 それを大人が滑稽にやるとやっぱり「危ないな」となるのだろう。 |
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