2000年 1月

 その時私が出来ること

 SASの新曲2曲がテレビで放映された。
 2曲は全く違うタイプなのだが、そのどちらともがSASの魅力だ。
 そして少なくともその片方が、世間にじわじわとインパクトを与える。
 本当は、歌に良いも悪いもない。
 誰かが決めることは、絶対じゃないから。
 そうするとこの世に良いも悪いも、本当はないのかもしれない。
 これだけ道徳が叫ばれる中で、昔ほど人は良いも悪いも分からなくなっている、その時代で。
 産業ロックなんて哀しい言葉を、SASは2000年に吹き飛ばす。
 今、歌わなければならないことを。
 今だから歌える、この歌を。
 そして人々が感じ、だから私が今。

 2000.1.29.

 同じ時間

 過ぎ行く時間は全ての人に与えられる同じもの。
 空間や密度が異なったとしても、今寝ている人の時間が同時に私の頭の回る時間となって、流れ去る。
 ベクトルもスピードも、一定で均等で平等な捻じ曲げられない時間。
 あなたの時間を見つけようとして、それが私と同じだなんて感じられないくらいすれ違ってもどかしくても、同じ時間。

 2000.1.22.

 魔性の月

 澄んだ漆黒の中で、バカみたいに輝く満月。
 そのハイレゾの月光に、夜道、いつものように一人。
 魔性のようなその光で我を脅かし、淑やかに心酔わせる月と女。

 2000.1.21.

 壊れる時期

 投げた石が、壁にぶつかって砕け散る。
 また投げては、砕け粉々になる石。
 川に投げたら、沈むだけなのに。
 空に投げたら、落ちてくるだけなのに。
 ぶつかれば壊れ、小さくなる石。
 何にぶつかっているのかが、問題ではない。
 何かにぶつかっているのが、問題なのだ。

 2000.1.18.

 脱藩(DAPPUN)精神

 流れ漂う木片にしがみつかず、大声を上げて助けを呼ばず。
 独立せんと凛とした顔で、流れに逆らい泳ぐ。
 夢も希望も無いなら、己で探したらどうか。
 迎合出来ない哀しみに明け暮れるのなら、いっそ突き進めば良い。
 例え二度と帰らぬ日々だとて、悔いる虚しさはそこにあらじ。

 2000.1.17. 震災を今一度思い、未来への決意と共に

 対話の無いあなたたちへ

 言うことを聞かない新成人達に、ある市長がため息をつく。
 確かに旧友との出会いは騒ぎたくなる気持ちだった。
 下らない議員の話なんか聞く必要はなかった。
 しかし君達は節度を知らない。
 暴れても、良いものか。
 何をしに、ここに来たのか。
 それすらも、考えないのか。
 あなたたちの声を聞きたい。
 対話のない、あなたたちの。
 対話は電話でするもんじゃない。
 心でするもんだ。目の前のお前と、己とするもんだ。
 言えないんじゃない、言おうとしないだけだ。
 先は長いんだ、考えてみよう。

 …という声は新聞の隅に載る、老人のぼやきにしかならないのか?

 2000.1.11.

 届かぬ言葉

 誰も悪くはないのに、届かない心の。
 行方知れずとなって、戻らない心の。
 たまに在り処を見つけ、嬉しい心の。
 幻想に苦しみもがいて、寂しい心の。
 どうしても伝わらない、哀しい心の、言葉。

 2000.1.9.

 三が日

 1日1日が違う体験。
 立ちこめる暗闇も思いがけない輝きも、全ては己の心にありき。
 明日への希望こそ、今生まれるものだと。
 望みはしない不安こそ、今生まれるものだと。
 加えて99%をカッコ良く決めた「オヤジ」のライブが有終の美を飾る。

 2000.1.3.

 そのままに

 少し風は強いが、快晴の空。
 いつもより多めの年賀状を受け取り、いつものところへ参詣。
 人類の反省は大事に至らず、大過なく元旦を終える。
 それは何事もないような時間。しかしどこかギュッと緊張した時間。
 みなぎる自信は過去の清算とばかりにうわずった声。
 今、あの時の声は幻聴だったと気付く。
 失ったものが、手に取るようにそばにある感覚。
 現に振り向けば、あの時の衝撃が。
 1年前の快晴が、恐ろしいスピードで今日の空に繋がって、目の前。
 体感した時間。これから体感する時間。
 足早に過ぎ去った1年と目の前の1年に、今正直に、わくわくしている。

 2000.1.1.

 

 

Copyright 1998-2000 Yuichiro Yoshioka/Project EVE
Produced by Y.Yoshioka