2000年 12月

 世紀の終わり

 新世紀を目前に、すべてを終えようとする欲望がある。
 その一方で、すべてが終わらない現実もある。
 引き続く世、ひとはその中で生きるのであって、この連綿と脈打つひとの血のすべてが絶えることは未だかつてなかった。
 何かにとっての終わりは、何かの命の誕生であって、夢であってまたは裏切りであったとしても、それが何かのよどみには決してならなかった。
 どうしても自分が好きになれないで、だから他人が好きになれないで、馬鹿らしくも重苦しいこの崇高なテーゼに押し潰されてなるものかと、抗うひとの血でさえもまた、時の流れには逆らえなかった。
 やっつけどやっつけど、毎日毎日イヤでも迫り来る生きることへの代償が、いつの日か自分を際立たせ辛うじて生きているあかしを手にするくらいギリギリの人生だとしても、ひとはいつだって希望を抱いてきた。
 だからすべてに清算はできなかった。ただ、だからひとは頑張ってきた。
 泣き、笑いのすみっこに、いつでもわたしがいる。そしていつでもひとがいる。
 それがひとの受け継いで受け継がれる、誇りある宝物だと、この世紀の終わりも終わりにようやく気付いた。

 2000.12.23.

 

 

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