1999年 11月

 Cocaine

 舞台上で見せつけられた夢に対峙して。
 20年の時が錆びれもせずに生き続ける。
 その健気さ。潔さ。しつこさ。
 少なかれど本気で寒気を感じる瞬間があった。
 語れる人、歩む人。
 時の儚さに酔えど哀しみ故に舞えず。
 生き行く人が側にいるだけで、どれだけ救われているのだろうか。
 夜中、透き通る空に下弦。
 その下で誰とも分からぬ歌声がこだまする。

 1999.11.30.

 迷走、後、「完了」、始まり、夢見、

 振り返る時間は短く、その意味も少ないけれど。
 時は流れ続け、追い求めるものは何一つ変わらずに走る。
 結果、進歩していなくとも反省として受け止める勇気が、必要とされる。
 一つの形が例え歪であろうとも、成立する瞬間。
 そして崩された瞬間との狭間、それが激しく揺さぶられる時間。
 他人に呻き、自らに負わせる実世界、剥離しかけた寸分の。
 お決まりの同情ですら苦しみの、そういう笑いの下で蒔かれた希望の種子。
 芽は少し、成長しかけの。
 決して枯らせはせず、枯らせられず、吐くまで。

 1999.11.25.

 恐怖の後の安堵 安堵の後の恐怖

 非日常的生活の中で何とかリズムを刻む唯一の糧。
 それを探し求めるために街に出るわけでなく、ただ少しの強制的体裁論だけが私を操作し。
 たまにふとした安堵を見つけ、憂いから立ち逃れる瞬間を垣間見て。
 ただ殆どは悶々とした自分にすら価値のなさそうな時空をさまよい果てる。
 挙句、他人の芝生は青かれど、きっとそれにも幻滅しながら虚ろな目を呈し。
 謂れなき根拠と過去への自尊、唯一の糧の無謀なまでの執着と形在りし物への偏愛が、私から他人をなくす。
 見えないモノが、在らぬモノへ。在りし可能性は限りなく無に近く。
 現実は冷酷となりて。されど全ては止まらず。故にそれが、カッコ悪し。

 1999.11.5.

 運

 現世には人間の及ばない領域が存在する。
 為すべき事を為した後なら、それはもう、不可視の領域で。
 為すべき事を為さないのであれば、はなから運は在り得ない。
 人生における運とは、在るべきところにしか存在しないことを。

 友人と過ごす。天の下で共に行動すれば、運はやって来る。感謝。

 1999.11.3.

 

 

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