1999年 5月

 飽き足らない男

 無茶苦茶大きな夢があって追い求めている。
 一方で、どうでもいい馬鹿なことからいつまでも抜け出せない。
 夢が実現しても、休むことが出来ない。
 死んでもいいのに、死にきれない奴。
 ひょこっと普通に戻れて、ふらっと大舞台に立っている。
 普通じゃ目指したって出来ないよ。
 今まで作ってきた実績があるから安心して見ていられるのかな。
 その上でまだ退かない、憎たらしさがいいのかな。
 何にしても満足しちゃってる奴が大嫌いなのかも。
 自分に飽き足らない男、そんな奴が一番カッコイイと思う。

 街で一番の男。BGMは“Summer”。

 1999.5.31.

 菊次郎の夏

 愛情なんだな、と心から思う。
 「この野郎、ばか野郎」の内にある、言葉とは裏腹の愛情。
 やりたいことやってきて、自分を無様に見てきて。
 辛いことを良く知ってるから、ちょっとした仕草が涙を誘う。
 見るべき物を見ているから、自然と「楽しさたち」が集まるんだろう。
 哀しい現実に直面して、涙流さない奴の方がおかしいんだから。
 笑える時に笑っておかないと、涙も出なくなる。

 1999.5.24.

 小さな恋の破綻

 こうなってしまうんじゃないかと感じてた。
 絶対そんなことはないとも信じてた。
 空虚な同居はその時、打ち砕かれた。
 久々の衝撃。
 ペンは走る、虚ろに走る。
 もう一度、現実を見て。確かめて。また見て、確かめた。
 どうにもならずに、ペンを走らせて。
 思い出させてくれた気持ち。
 それだけに感謝しながら。

 1999.5.21.

 楽天

 気付かないうちに、夜は過ぎ去っていた。
 目覚めると、太陽はとっくに空で輝く。
 また、夜を待つしかなかった。
 時は我を忘れて走り、空は艶やかに色を変える。
 闇の中では、また道を見失うのだろう?
 どうしようもなくなって、目を閉じる。
 そして。
 どうしようもなくなって、目覚める。
 太陽はまた出ていた。
 そう、間違いなく、出ていた。

 1999.5.18.

 ピュア・ラビリンス

 ぐっ、と堪えるべき何か。
 眠さにも消されることもない。
 白む夜、消え行くさだめ。
 溢れ出る知恵。要らない知識。
 定まりにくくなった焦点に、なおも抵抗する。
 なればいい。そうなればいい。
 曲がりくねる幻想。
 道は真っ直ぐなのに、誰も教えない。
 心からの叫び。

 1999.5.17.

 拉がれた日々

 何か集中している時間がいとおしい。
 ふっと心に染み入ってる瞬間が、忘れられない。
 浸る時間が長いほど、記憶は鮮やかになる。
 くっきりとした時間。見つめられる自己。
 そして、その反動が、また。
 おぞましさで埋め尽される、空虚な時。
 常に来るその時を、避けられない運命を、知っているから、なお。
 必至の時を、いつも何処かで忘れられないで。
 打ちひしがれて、何も言えず、歩みを止める日々。
 泣きもしない。

 1999.5.16.

 血闘

 熾烈な闘争。
 何も戦争の事を言うのではない。
 内なる闘い。
 血は流れずとも。
 生死をかけた禊。
 昇華する、その対象が個々の人で、違う。
 彼の湧き上がる血が、今こうして雨となって、私に。
 せしめて私の血が。
 禊の時を待ちきれずに、燻る。
 燻る、…だが。
 炎は消えない。
 戦火を呼び起こす。

 1999.5.2.

 

 

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