1999年 7月

 性よ、乱射の如く

 文字通り「怒涛」の3時間。
 身体が湯気のようにゆらめく空間。
 まだ耳鳴りが止まない。
 幽閉されていた魂の叫び、それは「波」となって荒れ狂い、狭い空間を一層狭くする。
 時に厳しく、時に阿呆らしく、時に本音で語って、しかし奴らはしっかりと「男」の生き様を教えてくれた。
 カッコイイ、素直にそう思う瞬間。
 立ち尽くす己は、もっと磨かなければならない。もっと強く。強く。
 まだ耳鳴りは止まない。

 1999.7.26.

 殴られ屋

 「殴られ屋」という商売があるそうだ。
 夜な夜な札と引き換えに、殴られる。
 彼は元プロボクサー。
 プロの場で、芽は出なかった。
 それでもまだ、殴られる。
 殴られようと街に出る。
 特に殴ろうとも思っていない人々が、彼にそそのかされ彼を殴る。
 余興で殴る。本気で殴る。でも死ぬ気じゃ殴らない。当たり前だ。
 なかなか当たらないから大変だ。でも殴られる方はもっと大変だ。
 きっと痛いだろう。きっと苦しいだろう。死ぬかもしれない。
 でも殴られながら、なかなかへばらないことも知っている。
 自分はそんなに、脆くない。人はそんなに、脆くない。
 簡単には、死ねない。

 1999.7.9.

 小谷美紗子

 ある種滑稽でシュールな世界。
 そこに展開するのは3人だけの重厚な空間。
 上から照らす一つの照明が、この暗き空間を伝わって私に降り注ぐ。
 ピアノの旋律。ギターの技術。そして歌声という風。
 目ではなく身体で、重き言葉を容易く受け取る妙。
 空間はあまりにも正直で、最初に戸惑い、最後には時を感じさせなかった。
 「効かなくなった永遠の約束」なんて、あまりにも彼女らしいではないか。

 1999.7.4.

 

 

Copyright 1998-99 Yuichiro Yoshioka/Project EVE
Produced by Y.Yoshioka