1999年 8月

 ありがとう

 大きな代償を得て、大きな教訓を受けた。
 年を増して、気付かなかった過ちを今、教えてくれたのだと思う。
 数えられないくらいの、ごめんなさい。
 そして。
 たくさんの、ありがとう。
 言葉にならない、気持ち。

 1999.8.31.

 circle

 一丸となる行為。そこにはそれぞれの努力がある。
 紆余曲折があった。しかしそれは自分という小さな範疇でしかない。
 本領の発揮とはその範疇の中で起こるが、その火種は別に用意されるものだ。
 一丸となる行為。それは寂しい行為であるが、故に価値ある行為でもある。
 一つ一つのハードルが高さを違えて存在するリレー。
 走り抜ける快感。代え難い何か。
 3年目にしてやっと見えてきた形に、今日は酔おう。

 1999.8.10.

 華火

 昨日は毎年恒例の越谷花火大会。
 夜空に彩るは和を慮る民の技巧。
 比較的涼しい夜が、集う人を和ませる。
 周りの人。身近な友。
 時は共有され、華に魅了され。
 感動に手を打ち、心までが揺れた時。
 美しさは淡い匂いを残して、消えた。
 終わる夏の夜。
 今年が終わるから、また来年のこの日が来ると。

 1999.8.8.

 氷の世界

 閉じている世界の安住と、開かれた世界の誘惑と。
 出られない世界の寂寞と、先が見えぬ世界の悪夢と。
 指切りしたい思いと、交わした約束のはかなさに恐れをなす。
 かき鳴らすギターの音色に逃げ込む男。
 死を予感して、音という酒に酔う。
 酔った先の桃源郷は、醒めた時に空へ散る。
 どれだけ時が経とうとも、酔う術を手放せない愚者が。
 手に酒を抱えて。また夢に酔う。酔いたくはないのに。

 1999.8.5.

 輝きの側で

 年に一度のオーケストラコンサートに行く。
 去年は行かなかったので、2年ぶりだ。
 懐かしい音楽のシャワーの下、流れていった過去を思う。
 安堵のメロディー、苦行のリズム。合わさる快感。
 そして今、を思う。今、またここにいる。
 アンコールと共に、終わる時間。
 時は過ぎて、語る夢。尽きぬ話。輝く光。
 通り雨と共に、短い時は過ぎ去るしかない。

 1999.8.4.

 

 

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