1998年 10月 |
深い底へ落ちる。
落ちた先は、幻覚。
しかし、今まさに繋がっている感覚。
その淵から這い出そうとしてみても、その快楽に、この身体で感じ得る最大の快楽に、
「何故?」の疑問が私を悩ませる。
進めぬ身体は、自然の法則に従ってまた沈んでいく。
深い時が驚くような早さで過ぎ去っていく合間に、無の偉大さの前で諦観する。
この底知れぬ深き眠りを妨げるものは存在し得ない。
…と思った矢先に、けたたましい音。
飛び起こしたのは、1コールしか響かぬ電話の音。
1998.10.29.
今日渋谷にてSASの桑田さんが公開ラジオ放送に出演した。
小雨の降る中、驚く程たくさんのファンに混じりながら、彼の姿を見るために待ち続けた。
そして訪れた「4分」。
短い制限時間であったが、彼の偉大さを思い知るには充分だった。
ラジオ出演中ながらも、出来る限り窓の外のファンにコンタクトを取ってくれた。
紙にいろいろなメッセージを書いて、見せる。
お決まりの「1・2・3、ダー!!」も一緒にやってくれる。
誰より彼が楽しんで、やってくれる。
この人だから出来るんだな、そう思った。
雨の中これだけ幅広いファンを集めるのも無理はない。
間近で会えたことを、本当に嬉しく、また誇りに思った。
憧れの人から受け取ったパワーは並大抵のものではない。
その時、紙に書いてくれたメッセージ。
「みなさん 負けないで」
いつも何気なく言ってくれるこの言葉に、どれだけの力を与えてもらっているか、計り知れない。
1998.10.24.
不思議な夢を見た。
今考えると、絶対ありえないストーリー。
でもその場では信じられないほどのリアリティがあって。
現実より現実感のある、今よりも今らしい、充実してた時。
頭から深く世界へ突っ込んだような、気分。
1998.10.20.
言われるままに、その通りだと思った。
何度目かの受験に備え、計画を立てる。
4月から立てた計画は壮大なものだ。
立て終わって安心した5月、音すら立てず過ぎていく。
進まない計画の立て直しに四苦八苦し漸く次の目標を見つける。
しかし何故か上手く行かぬ。
再度、立て直す。
やっぱり進まぬ。
さらに、立て直す。
そして振り返る。
春の季節はまた巡り帰ろうとしている。
…そんな話を天声人語に見た。
国鉄債務問題を、この笑えぬ話に見立てていた。
しかしこんなことは国会でも何でもない、自分にも実感として身に備わっている。
繰り返すばかりの理想論。
カムフラージュされた、論理的に美しい計画表を大事に取って仕舞う。
計画を白紙に戻せても、自らを白紙に戻せないことに、気付かず。
今となっては遅すぎたかもしれない。
さくらはまた咲き始めるかもしれない。
だが、後は。
大岩にぶつかってから。
ぶつかったとて、案外痛くないかもしれない。
1998.10.19.