1998年 12月

 人生いいもんだ

 時には哀しかったり、参ってしまったりするが、酒でも飲んで気楽にやれるのがいい。
 好き勝手になるようにやれるのがいい。
 そしてまた哀しくなればいい。
 前に進めればそれでいい。
 身体だって風邪ひきゃ調子悪くなることもある。
 心だってそうだ。
 時は知らないうちに来ている。
 一度しかない怖さなんて、忘れていい。

 1998.12.30.

 去り行く年に

 インターネットでの自殺幇助罪に世間が大きく驚いている。
 何でもありのネット世界がここぞとばかり現実社会で騒がれる。
 いや。あり得ることだと高を括る自分は恐ろしいのかもしれない。
 しかしそれよりも死を知らない人の多さが恐ろしい。
 この世への別れという怖さが一番の快楽となってしまう。
 淡々とした事実。だから、怖い。
 最後に人は、いつでも別れに耐えなければならない。
 耐えるから生きられるのに。
 耐える前に死ぬんじゃ、意味が無い。

 1998.12.26.

 アイのクリスマスプレゼント

 ためにためた昔のカセットテープを聴きなおしていたら、思いがけない歌が流れてきた。
 すっかり忘れていたが、きちんと聴いてみたかった歌。
 じっくり聴くと、きれいな歌。
 身体が震える。
 まさかテープがあったとは。
 ささやかな、でも大きなクリスマスプレゼント。

 1998.12.21.

 布告なしの戦火

 冒険に出る。
 一仕事やり遂げる。
 その直後、不意に一服する。
 忙しなく動く世界をよそに。

 強国は4回目の爆撃を仕掛けた。
 制裁と己に言い聞かせて。

 辛い眠りから覚め、吹っ切れる。
 気付いた。
 元気な歌と共に、反撃の狼煙をあげて。

 1998.12.19.

 月の裏側を見たい女

 銀座の小さな映画館で映画を観た。
 今日は「落下する夕方」を観た。
 ちょっと前には、「TOKYO EYES」もここで観た。

 強い女が、いた。
 目の前で起きることを、受け入れると言うより「立ち向かって」行く。
 日々創っては壊していく、それもあるけど、そんなものとは比べ物にならない何か、が崩れ落ちたとき。
 大事なものが、例えばそれが恋だったとき。
 今はそんなことが起こりやすくなってる時代。見方を変えれば、それが許された時代。
 単純な自分が、壊れると言う脆さ。
 それを我が物にする女。
 強い。
 ハナと散る女。
 強い?
 弱い。
 いや、強い。

 一度落下して、でも、したたかな女性が創った映画だからこんなにも、強い。

 1998.12.15.

 生きる

 解決するために生きるのではない。
 物のために生きるのではない。
 他人のために生きるのではない。
 ましてや、神のために生きるのではない。

 明日のために生きるのではない。
 後悔するために生きるのではない。
 振り返るために生きるのではない。
 ただし、振り返ってはいけないのではない。

 何かのために生きるのではない。
 つまり、生きるために生きるのではない。

 今を生きる。

 1998.12.11.

 学び、疲れ、歌う、誰を?

 眠りから覚めて、思わず早く時は過ぎて、眠りに落ち。
 また覚めて、早過ぎて。
 振り返ろうとしている。壊そうとしている。守ろうとしている。
 微妙な満足感は心地よい。だがそれが怖い。
 「除け者、除け者」と呼び捨てる社会が。
 同じようにしたくて、出来ないのは己が由。
 人に泣きすがる為、いるのか。己を笑い飛ばす為、いるのか。
 声を聞かせて。
 声を聞いておくれ。
 哀しみを歌う。楽しさを歌う。己が為。

 壊れない。畜生、壊れない。

 1998.12.7.

 

 

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