SSS-002 "HOTEL PACIFIC"

「灼けたSun-Tannedの肌に 胸がJin-Jinと響く」

2000/07/13 @488(19:43)

 

<Song Data>

2000/07/19 on Sale
12cmCDS(アンケートサイトにイージーアクセスできるエキストラ仕様、初回限定仕様はケース付きオリジナルジャケット&ペア・タトゥシール封入)
12inch SHAPED LP
c/w 虫歯のブルース〜インディアン狂想曲[MEDLEY]

<Reviews>

SSS第2弾も執筆している時点ではまだ発売されていない最新作を取り上げる。既にラジオだけにとどまらず発売前から様々なメディアで露出しまくっている今作であるが、20世紀最後の夏にSASが放つ「初オンエアの瞬間から懐メロであることを宿命づけられたかのようなこのド歌謡曲(桑田談)」はまさしくSASの王道にして「TSUNAMI」とは一線を画すノリノリソングである。

ラテン歌謡とも取れるそのメロディは、懐かしのGSをも彷彿させ(と言っても筆者はリアルタイムで聴いてはいないのだが、…それでも「懐かしい」と思わせるあたりが基本的にこの歌の持つ類稀なるパワーであろう)、基本的に「女子にモテモテのカッコいい外人になりきれなかった(笑)」桑田の体内から溢れんばかりに出る歌謡曲魂が炸裂したと言っても良い。

以前とある雑誌にSASの歌には大別すると3つのカテゴリーがある、即ち「勝手にシンドバッド」に始まり「エロティカ・セブン」、「マンピーのG★SPOT」に続くエロエロド派手ロックナンバー、そして「チャコの海岸物語」に代表されるパロディと同時にちょっぴり切なさも誘うバラエティと哀愁の共存作、そして「いとしのエリー」や「TSUNAMI」で爆発させるロマンティックバラード路線である、と書いてあったが(さらに私から付け加えるとすればアルバム「さくら」路線がもう一つの新しい潮流だった、と書いておこう)、「TSUNAMI」の驚異的大ヒットから次は何を出すかと思いきや、敢えてこのカテゴリーで言うのなら2番目の中道作だった。

歌詞は確かにマジな切なさを感じさせるが、それでも「Sun-Tanned(最初聴いた時英語だとは分からなかった…笑)」で「Jin-Jin」という、今と過去をごっちゃにしてしまうくらい余裕のある何でもありなダサカッコよさ(笑)と、サビでは調子の良すぎるリズムとパーカス、そして恥も外聞も無く踊りまくりのPV、さらにはタイアップとなったWOWOWでのCF「オゥ、モーレツゥ(元ネタすら知らぬがあれはSAS史上最高のCFだと思う)」、極めつけは桑田の中途半端な金髪(ファンの人、ごめん、私もファンだけど似合う似合わないで言えば明らかに後者だと思う…笑)、もう全てがバラエティと夏メロならぬ懐メロパワーで「何でもありだぜ!」とぶっ飛ばすのだ。

つまりそこには、SASである以上忘れられない「情緒」という言葉がたっぷりと包容されている。簡単に言ってしまえば、「Jin-Jin」と突き刺さる懐かしさ、なのかもしれないが、これこそ私を例えライブに行けなかったとしてもビリビリに感じさせる(今流行りの言葉で言えば癒し?…んなちっぽけなもんじゃないぜ!)エクスタシーなのだ。人間に内包する、もっと言えば桑田に内包するドロドロした情熱が、これぞお前らの忘れてた「情緒」ってもんじゃないのか、と言わんばかりに私をけしかける。

それでいて「いいじゃねえかとりあえず踊ってみろよ」的な、短絡発想だけじゃない。何か大事なものを見え隠れさせる壁に触れるような、そんな無謀さをこの歌は秘めているように思う。だってそうじゃなきゃ、桑田自身が全国のTV視聴者の前でスカートめくってかわゆいパンティみせつけ「モーレツゥ」なんて言う訳がない。「TSUNAMI」で創り上げたカッコいいイメージを数ヶ月でぶち壊すその馬鹿っぷりと無茶でお茶目でどうしようもなく手の付けられない「おやじ」に、この真面目な私がこんなにもビンビン来るわけないのだぁ!!

<終わり(敬称略)>

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